こどもの心臓病、何から学べばいい?知識ゼロの母が救われた1冊『改訂2版 こどもの心臓病と手術』

情報収集・学び方
ママ
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「先生の説明、半分もわからなかった」

母
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「心臓のことを調べたいのに、どの本を読めばいいのかわからない」

そんなふうに、ひとりで途方に暮れていませんか。

わかります。 私も、息子の心臓病がわかったとき、心臓のことを何も知りませんでした。 説明を聞いても、知らない言葉ばかり。 相槌をうちながらも、頭の中は真っ白でした。

この記事では、私が息子の病気を知りたい思いから検索をし、手に取った1冊を紹介します。
タイトルは『改訂2版 こどもの心臓病と手術』という本です。※(当時は改訂2版ではありませんでした)

この記事を読めば、この本で何がわかるのか、どこに気をつけて読めばいいのかがわかります。 先生の説明を「聞くだけ」から「わかって質問できる」に変える、最初の一歩になればうれしいです。

どんな本?

結論から言うと、心臓病の子をもつ家族が、病気と手術の「全体像」をつかむための入門書です。

タイトル
改訂2版 こどもの心臓病と手術
患者説明にそのまま使える/不安なパパ・ママにイラストでやさしく解説
著者
立石 実(聖隷浜松病院 心臓血管外科)
監修
小出 昌秋(聖隷浜松病院 心臓血管外科部長)
出版社
メディカ出版
価格
2,860円(税込)
その他詳細
発行年:2020年8月 
版型・ページ数:B5判(電子版あり)・128ページ

書いているのは、こどもの心臓手術をしている外科の先生です。
「患者説明にそのまま使える」という副題のとおり、病院で先生や看護師さんが家族への説明に使うことも想定して作られています。

病院スタッフ側にとっても、家族がどういったことに不安を感じるのか、心配するところは?
何がわからなくて、何を知りたいのか。そんな部分にも光が当たる内容
です。

全国心臓病の子どもを守る会のホームページでも、この本が紹介されています。

目次(全8章)

  1. 心臓のきほん
  2. 先天性心疾患のきほん
  3. 心臓手術の流れ
  4. 先天性心疾患の手術で大切なこと
  5. いろいろな先天性心疾患(19疾患)
  6. 心臓手術の合併症
  7. 入院から退院までの流れ
  8. 手術が終わって大人になるまで

8章の「大人になるまで」は、改訂2版で新しく加わった内容です。
私が購入したのは2019年であり、まだ改訂前でした。この内容、とても見てみたいです。

5章では、動脈管開存症、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、房室中隔欠損症、ファロー四徴症、完全大血管転位症、両大血管右室起始症、修正大血管転位症、三尖弁閉鎖症、単心室症、左心低形成症候群など、19の病気が取り上げられています。

おすすめポイント

① とにかく丁寧で、わかりやすい

いちばんの魅力は、説明の丁寧さです。

ページの中心は、かわいいイラストです。 むずかしい言葉には、ちゃんと説明がついています。 「先生はさらっと言ったけど、つまりこういうことか」というように理解が広がる構成です。

医学書のように文字がぎっしり、ということはありません。
専門的な知識が無くとも、非常にとっつきやすく、読み進められます。

② 心臓の「しくみ」から学べる

この本は、いきなり病気の話から始まりません。 最初は「心臓のきほん」です。

心臓がどこにあって、どう動いて、血液がどう流れているのか。 まず「ふつうの心臓」を知ることで、わが子の心臓の「どこが、どうちがうのか」が見えてきます。

たとえるなら、地図を知らないまま道に迷っている状態から、まず地図を手に入れる感じです。 足がかりになる知識が得られることで、先生の話が理解しやすくなるはずです。親切設計ですね。

③ 治療から大人になるまで、見通しが立つ

病気の説明だけで終わらないのも、この本のよいところです。

  • どんな手術が必要なのか
  • 手術の日、何が行われるのか
  • 入院から退院まで、どう進むのか
  • 手術のあと、大人になるまでに何に気をつけるのか

この順番で読めるので、「この先どうなるの?」という不安が、少しずつ「次はこれか」という見通しに変わります。
もちろんお子さんによって違う予定が入ることはあります。
説明して下さる先生方は、無責任なことを言いません。そのため今後に関して、明言されない場合もあります。しかし、この本でおおよその道筋が知れる。そこは大きいと感じます。

先のことがまったく見えないのは、本当につらいものです。 見通しがあるだけで、心の置き場ができます。不安ばかりをため込まず、今どの段階にいるのか、目安になる知識が得られます。

④ 家族に寄り添ってくれる

副題の「不安なパパ・ママに」という言葉のとおり、読み手の家族を置いていかない書き方です。

専門家が専門家に向けて書いた本ではなく、家族の目線に立って書かれています。 「わからなくて当たり前」と言ってもらえているような、やさしさを感じました。
実際、図も手書き風で解説役の白衣を着たキャラクターがクマであったりと、あたたかなつくりです。

気をつけておきたいところ

よい本ですが、正直に気になった点も書いておきます。

① 病気によって、説明の量にちがいがある

19の病気が載っていますが、ページ数や説明の量は病気によってちがいます。 くわしく書かれている病気もあれば、比較的あっさりしている病気もあります。

また、すべての先天性心疾患が載っているわけではありません。 お子さんの病名が載っていない場合もあります。

購入する前に、書店や電子版の試し読みで、目次を確認しておくと安心です。

② 合併症の章を読むと、不安になることがある

「患者説明にそのまま使える」本なので、手術の合併症についてもしっかり書かれています。 医療者が家族に説明する内容なので、起こりうることがきちんと並んでいるんです。

正直、ここは読んでいて心配になりました。 病気を治すために避けられない手術です。それなのに、その手術が原因で起こるかもしれない体の不具合を知るわけですから…。

手術の前には、それを知ったうえで同意書にサインをしなくてはいけません。
保護者としての試練ですよね。読むとこわくなるのは仕方ないと思います。
もし読んでいてつらくなったら、こう考えてみてください。

  • 合併症の章は「起こるかもしれないことの一覧」で、「必ず起こること」ではない
  • わが子に当てはまるかどうかは、子どもによってちがう
  • 気になったところには付せんを貼って、主治医に「うちの子の場合はどうですか?」と聞く

一人で抱えこまず、質問のきっかけにすれば、この章もちゃんと味方になってくれます。

私の体験談――知識ゼロからのスタート

こどもの心臓の本が、見つからなかった

息子が生まれてまもないころ、私は心臓のことを少しでも理解したくて、本を探しました。もともと本を読んで知識を得たいタイプの人間でしたから。
でも、こどもの心臓病についてわかりやすく書かれた本は、なかなか見つかりませんでした。 

はやる気持ちからそのときは、大人の心臓の本を買いました。そこで、心臓のしくみはわかりました。
しかし『先天性心疾患』は、一般的な『心臓病』とはまた違った扱いであるとわかりました。
結局、こどもの先天性の心臓病のことは、やっぱりよくわからないままでした。   

この本で、やっと「わかった」

そんな私が、しっかり学べたのがこの本です。
全国心臓病の子どもを守る会のホームページで見つけて購入しました。

息子の病名、受ける手術の名前、手術のあとの体のこと。 先生の説明で聞いた言葉が、イラストと一緒につながっていきました。

わかるようになると、先生への質問も変わります。
「よくわからないけど、お任せします」「私は素人だから」から、「この手術のあと、退院が見えてくるということですか?」と、いうように。
知識があることでようやく、先生がどの段階の話をしているのかを理解し、臆することなく話せるようになった気がしました。

準備体操のようなもの

また、手術の詳細に関しては前知識として知っておいた方がいいことというのもあります。
例えば手術を終えた後に点滴が大量についてくるとか、胸骨開放とかそういう部分です。

術後に少しだけ面会できますが、これを知らないとかなりショックです。
もちろん口では説明されるのですが、全然イメージ出来ないと思います。
そこをカバーするように、この本では絵で説明してくれています。これは、必要な情報だと思いました。

ママ―ポッターと秘密の部屋

ちなみに私は看護師さんに『病院に図書室はあるのか、患者保護者は借りれるのか?』と聞いたことあります。
「書庫はあるけど、一般には公開してないです。それに、医師の読む本はすごく難しいですよ」
とのことでした。残念!

「えっと……これ、忘れていきました?」

病室でこの本を読んでいたときのことです。
看護師さんが、私を見て言いました。

「えっと……これ、私忘れていきました?」

どうやら、看護師さんも同じ本を持っていたようです。 「いえ、私の本です」と答えると、 「あぁ、お母さんの本なんですね」 と、ちょっと照れたように笑っていました。

医療者が説明に使う本を、家族も読んでいる。 同じ本を読んでいるからこそ、話が通じやすくなる。 それに、ちょっとうれしい瞬間ですよね。
電車の中で自分の好きな本を読んでいる人に向かって(それ面白いよね!?わかる、わかるよ!)と、一方的な仲間認定をする感じです。

補足:同じシリーズの本もある

この本には、病気や臓器ごとに同じシリーズの本があります。 私が持っているのは心臓の本だけなので、ここでは出版社などの紹介をもとにまとめます。

書名著者発行内容
こどもの口唇裂・口蓋裂の治療とケア (患者説明にそのまま使える 不安なパパ・ママにイラストでやさし) [ 大久保文雄 ]

大久保 文雄2014年3月口唇裂、口蓋裂
こどものがんと治療 患者説明にそのまま使える 不安なパパ・ママにイラストでやさしく解説 [ 細野 亜古 ]

細野 亜古2017年1月白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経芽腫、骨肉腫など。化学療法、放射線治療、手術、造血幹細胞移植、治療後の生活まで
こどもの腎臓病と治療 患者説明にそのまま使える/不安なパパ・ママにイラストでやさしく解説 [ 後藤 芳充 ]

後藤 芳充(名古屋第二赤十字病院 小児腎臓科部長)編著2018年7月腎臓のはたらき、学校検尿、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、尿路感染症、先天性腎尿路異常、慢性腎不全、日常生活の管理など

どれも、イラスト中心で家族向けにやさしく解説する、という作りは同じです。 お子さんの病気に合わせて、探してみてください。

こんな人におすすめ

  • 先生の説明を聞いても、よくわからなかった人
  • 手術を控えていて、何が起こるのか知っておきたい人
  • 退院後や、大人になるまでの見通しを持ちたい人
  • 祖父母や家族に、子どもの病気を説明したい人

最後の使い方も、意外と便利です。 イラストを見せながら話せば、家族にも伝わりやすくなります。

まとめ

『改訂2版 こどもの心臓病と手術』は、心臓のしくみから病気、手術、入院、そして大人になるまでを、イラストでやさしく学べる1冊です。

病気によって説明の量にちがいがあること、合併症の章が読むと不安になることは、知っておいてください。 それでも、知識ゼロだった私が「やっとわかった」と思えたのは、この本のおかげです。

病気のことを調べるのは、こわいですよね。
でも調べることは、わが子を守るための知識を手に入れることだと思うんです。

今日からできること

まずは、電子版の試し読みや書店で、目次を開いてみてください。

お子さんの病名が載っているかを確かめる。 そして、読んでわからなかった言葉や気になったことをメモに書き出す。
次の外来、あるいは面会で、その疑問を看護師さんや先生に聞いてみましょう。 それだけで「聞くだけの時間」から「一緒に考える時間」に変わります。

知識を持つことで、今お子さんにしているケアや内服の意味を理解できます。
体調不良を察知するヒントにもなります。


そして何より、保育園の利用、小学校への進学、これらの場面で親がしっかりと説明をできることで、預かる側の過度な不安を解消できます。
私は、難病や障がいのある人への垣根を取り払うためにも、解像度の高い情報が解決の糸口になると思っています。

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