初めての付き添い入院を前に、頭の中はこんな言葉でいっぱいになっていませんか。
「付き添い入院が決まったけど、何を持って行けばいいのかわからない」
「面会で病室にいるだけなのに、なぜかクタクタになる」
そんな戸惑いを抱えている方も少なくないと思います。
私は医療的ケア児の母として、何度も付き添い入院を経験してきました。
この記事を読めば、本当に必要な持ち物、あると気持ちが楽になる物、体調を保つための工夫、そして頼っていい支援団体がわかります。
付き添い入院が決まったとき、慌てず荷造りできる一助となれば嬉しいです。
付き添い入院は、想像より「選べていない」人が多い

付き添い入院の現実
付き添い入院というと、「親が希望してそばにいる」というイメージを持つ方も多いかもしれません。でも、実際はそう単純ではありません。
2025年に発表された「付き添い白書2025」(全国242の病院・47都道府県を対象にした調査)では、次のような結果が出ています。
- 73.5%が「付き添いを選べなかった」と回答
- 75.0%が「病院から要請された」と回答
- 58.9%が付き添い中に体調を崩した経験がある
- 82.6%が「十分なサポートを受けられなかった」と回答
- 78.1%が経済的な不安を感じている[注1]
つまり、「付き添いたいから付き添っている」というより、「付き添わざるを得ないから付き添っている」家庭が大多数だということです。
私自身も、面会時間だけでは息子の様子が心配で、看護師さんに頼み込んで付き添いをお願いした経験があります。なぜ頼み込んだか?それは、病棟の人員不足が面会の中で感じ取れ、子が十分な看護を受けられないことが容易に想像できたからに過ぎません。
付き添い入院の必需品リスト
病院側・患者側共に必要なもの
ここからは、実際に何度も付き添いを経験してわかった、持ち物の話です。
まずは「これがないと困る」というものから。
- 着替え(親子分)とタオル類、羽織もの
- 歯ブラシ、洗面用具、爪切り
- スリッパ(ただし病院によってNGな場合あり。後述します)
- メモ帳とペン
- 携帯電話の充電器、モバイルバッテリー
- 現金・小銭(自動販売機、コインランドリー、売店用)
- 母子手帳、お薬手帳、診察券
このなかで、地味に忘れがちなのが「メモ帳とペン」です。医師からの説明、看護師さんへの申し送り、外出時の買い物メモ。付き添い中は情報量が多く、頭の中だけで覚えておくのはまず無理です。私自身、何度も忘れ物をしてきましたが、メモ帳だけは持って行って本当に助かりました。

持って行くと、気持ちを支える役にたつもの
入院生活の癒しになるもの
必需品ではないけれど、あると付き添い生活の質がぐっと上がる物もあります。
- DVDプレイヤーとDVD
- 子どもの好きなキャラクターのバスタオル
- 母子で共有できるスキンケア用品
- お気に入りの本や趣味の物
病室のテレビは「テレビカード」を使う有料方式が多いのですが、最近はこれがサブスクリプション形式になっている病院も増えていて、割高に感じることがあります。長い付き添いになりそうなときは、DVDプレイヤーとお気に入りのDVDを持ち込む方が、結果的に安く済みますし、子どもも見慣れた映像で安心できます。
子どもの好きなキャラクターのバスタオルは、実用品であり「インテリア」でもあると思ってください。殺風景な病室のベッドに一枚掛けるだけで、子どもにとっても親にとっても、癒しに変わります。気持ちの面で、これは効果があります。
スキンケア用品は、化粧水や保湿クリームなど、母子どちらにも使えるものを選んでおくと荷物が減ります。付き添い中は自分のケアが後回しになりがちなので、子どものついでに自分の肌も守れる、というくらいの気持ちで選ぶのがちょうどいいです。
また、リストに入れませんでしたが、重要なものがあります。
面会時に病院の売店で販売していないものは、付き添い開始時に持ち込む必要があります。し好品を含め、あらかじめチェックしておくことでQOLが上がります。

病院ごとにルールが違うので、事前確認は必須
マイナールールは付き添い前に他のご家族に聞いてみましょう
持ち物で一番厄介なのが、病院によってルールがバラバラなことです。
私が経験した範囲でも、次のような違いがありました。
- パジャマは患者のみで、付き添いの親は私服で過ごす病院
- スリッパNGで、上履きタイプの指定がある病院
- 病棟から出られる時間帯が決まっている病院
- コインランドリーの仕様(洗剤の要不要、両替機が新札対応かなど)
これは「どの病院が正しい」という話ではなく、感染対策や病棟の構造によって事情が違うということです。だからこそ、入院前に病棟の仲の良い看護師さんや他のご家族に直接、「付き添いの服装は」「履物は」「洗濯はどこでできるか」を具体的に聞いておくことをおすすめします。
荷造りしてから「それ使えません」と言われるほど、心が折れる瞬間はありません。
またコインランドリーを含めた施設の設備には新札、新500円玉に対応していないものがあります(あるんですよ、本当に)
恐ろしいことに最悪、売店が閉まった後、飲み物すら買えなくなります。
母親の体調管理も、立派な「付き添いの仕事」
お子さんを支える「あなた」のために
付き添い入院で一番後回しにされがちなのが、付き添う側の体調です。親が倒れてしまっては元も子もありません。
私自身、子どもの様子が気になって夜中に何度も目が覚め、まったく眠れないことがありました。
最終的には、かかりつけのクリニックで軽い眠剤を処方してもらい、短い睡眠時間を全力で眠ることにしました。
「病気の子を育てているんだから、これくらい大したことない」
と自分を追い込みがちですが、それは違います。
付き添い入院の終わりはゴールではなく、自宅での看護のスタートです。
体力を損なうことなく、付き添う家族の体調を保つことが重要です。
そのためのリストを挙げておきます。
- ビタミン剤を持ち込み、食事が偏っても最低限をカバーする
- 好きな嗜好品(コーヒー、お菓子など)を我慢しすぎない
- こっそり口に入れられる飴や干しいもなど
- 肩こり腰痛対策(シップやめぐりズムシリーズなど)
- 自分用の頭痛薬他
付き添い入院は「耐える期間」になりがちですが、母親が無表情でいる時間が長くなると、子どもはそれを敏感に感じ取ります。
息抜きは、わがままではなく、子どものためでもあるのです。
私個人としては『干しいも』がこっそり食べてもにおいが無く看護師さんにはバレないので良かったです(苦笑)

『めぐりズムシリーズ』は万人向け癒しアイテムと言えます。
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頼っていい支援団体
付き添い家族を支える活動
付き添い入院は、孤立無援ではありません。
実際に使える支援の窓口を紹介します。
入院している子供とその家族を支える活動をしているNPO法人です。
つきそい応援団という付き添い入院に特化した支援サイトも運営されています。
サイトを見れば、より詳しい情報が得られます。
付き添い生活応援パック(同じくキープ・スマイリング運営)
18歳未満の子どもに付き添い、10日以上の入院が見込まれる家庭を対象に、食料品や衛生用品、日用品を病室まで届けてくれるサービスです[注3]。買い出しにすら行けない時期に、これはかなり助かります。
群馬県の小児病院に付き添う親向けに、キッチンカーで温かいスープやおにぎり、カレーを届けているキッチンカーさんです。ご自身がお子様を病気で亡くされており、そのご経験から活動をして下さっています。
LINEの公式アカウントから注文すると病棟入口まで配送してもらえ、「おうえんチケット」を使うと300円引きになります[注4]。コンビニ食が続く付き添い生活の中で、あたたかい食事はそれだけで気持ちが上向きます。

厚労省の聞き取りは、正直、空虚だった
実情を知らない省庁の調査
付き添い入院の負担は、以前から知られている問題です。でも、国の調査はその実態をきちんと捉えられていませんでした。
厚生労働省が2021年に行った付き添い入院に関する調査の回答数は、わずか41件でした。全国でこれだけ多くの家庭が経験している問題に対して、41件という数字はあまりに少なすぎます。
実は、私もまさにこの調査の際に付き添いをしていた親の一人です。
回答41件というのはさもありなん。そう思います。
確かに付き添い入院している病院のロビーで封筒を配っていました。目にはしていました。
しかし、夕食とシャワー、どちらかしか選べない日もあるくらい、自由な時間がありません。
「付き添い入院の実態調査のアンケートです」と言われて渡された封筒は、病院で回収するのではなく、ポストに投函という方法でした。
えっと・・・そんな余裕無いけど?
ほとんどの方がそう思うはずです。
ちょっと離れれば泣くわが子。彼らは親と離されるときは採血か検査かとおびえています。
親もそばにいられる時間は極力甘えさせたいし、本人たちも必死に親を求めています。
コロナ禍で交代も出来ない付き添い生活の中、余力のある保護者がいたとは到底思えないです。
つきそい経験者の声を伝える
一方、民間のNPO法人が独自に行った調査では、全国およそ3,600人の付き添い経験者から回答が集まりました[注2]。同じテーマを調べているのに、集まった声の量がまるで違うのです。
国の聞き取りが悪意を持って軽視されたとは思いません。ただ、結果として「実態を反映した調査」にはなっていなかった。
実態を知らないからこそのアンケート集計の結果であろうと思っています。
これが、「厚労省の聞き取りは空虚だった」と感じる理由です。
当事者一人ひとりの体験が、その声が、記録として残り伝わって欲しい。そこではじめて現状の改善に活かせるものとなると考えています。

それでも、制度は少しずつ動いている
診療報酬改定での前向きな加算
明るい話もあります。
2024年6月の診療報酬改定で、付き添い家族の負担軽減に関わる加算が変わりました。
保育士を2人以上配置した病棟への加算が1,000円から1,800円に引き上げられ、夜間も対応できる看護補助者を配置した病院への新しい加算(1日1,510円)も新設されています[注5]。
金額だけ見ると小さく感じるかもしれません。それでも、「付き添わなくても子どもを安心して預けられる」体制に、少しずつお金がつき始めているのは事実です。
当事者の声の蓄積が、この動きを後押ししてきたのだと思います。
まとめと最初の一歩
付き添い入院は、多くの家庭にとって「望んで選んだ」というより「そうするしかなかった」時間です。だからこそ、事前の備えで負担を減らせる部分は、しっかり減らしておきましょう。
今日からできる最初の一歩として、この記事のリストを参考に、ご自分とお子さんの付き添い入院をイメージして下さい。
ご自身に必要なもの。病院に売っていないもの。
洗い出しをすることで、初めてご自身の付き添い生活を支える有効なリストが出来上がります。
次に入院の連絡が来たとき、リストを見ながら淡々と準備できるはずです。
そして、しんどいときは一人で抱え込まず、つきそい応援団やfufufu-soupのような支援に頼ってください。それは甘えではなく、病気のわが子を一番近くで支える存在として居続けるための、立派な備えです。



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