障がい児を育てる家庭では、ひとつの問題が医療や行政など複数の分野にまたがることが少なくありません。
私自身、通所支援サービスを利用するタイミングで相談支援事業所が見つからず、セルフプランを自分で作成したことがあります。
当時は「自分で何とかするしかない」と思っていました。
しかし、もっと早く知っていれば相談できた窓口があったと思います。
この記事では、障がいのあるこどもの生活を支える主な相談窓口と、
- どんなことを相談できるのか
- 相談するときのコツ
- 思うように進まなかったときにできること
について、実体験込みでまとめます。
①自治体の障害福祉担当窓口

一番最初の入口
自治体によって名称は違います。
おおむね「障害」か「福祉」と「支援」のうちどれか1つか2つ、あるいは全部が入った名称です。
障害福祉支援課とか全部のせタイプですね。
通所支援に関しては子ども家庭支援課が担当するなど、自治体差が大きいです。
複数の課を行き来する前提で時間に余裕をもって行きましょう。
相談できること
- 障害福祉サービス
- 障害児通所支援
- 受給者証
- 障害者手帳
- 特別児童扶養手当
- 各種助成制度
- 医療費助成
- 補装具
- 日常生活用具
制度に関する下調べが必要
役所は「何でも相談に乗ってくれる場所」というより、制度の申請窓口として考えましょう。
まず、役所は職員さんが数年で移動してしまうということがあります。
窓口の方がなんでも知っているわけではありません。
「何か使える制度はありますか?」では答えにくい場合があります。
障がいのある子や医療的ケア児が受けられる支援制度は、承認される必要がある。
申請したら確実に利用できるものでは無い。
そのため職員さんが不親切なのではなく、窓口で案内しづらいと思います。
最近では、国・自治体の支援制度が網羅された用紙を配る形の案内もあるそうです。
人気ラーメン店に行く時くらいには、下調べは必須であるとすら言えます。
その上で、

例:小児慢性特定疾病医療受給者証と特別児童扶養手当の申請に来ました。
胸を張ってコールし(用件を伝え)ましょう。
申請の書類が出てきます。
②相談支援事業所

障害福祉サービスや障害児通所支援を利用するときに関わることが多い窓口。
厚生労働省では、障害児相談支援を、本人や家族の課題を整理し、適切なサービス利用につなげるケアマネジメントとして位置づけている。
相談支援専門員が、以下を行います。
- 困りごとの整理
- 利用するサービスの検討
- 障害児支援利用計画の作成
- サービス開始後のモニタリング
相談支援事業所が見つからないこともある
私自身、障害児通所支援を利用するための計画を作る際、相談支援事業所を探しました。
最終的に見つからず、私はセルフプランを作成することになりました。
セルフプランとは、相談支援専門員に計画作成を依頼せず、保護者自身が障害児支援利用計画案を作成する方法です。
自治体によって書式や運用は異なりますが、セルフプランを利用している家庭もあります。
ただし、本来は「親が書けるから書けばいい」という単純な話ではありません。
相談支援専門員は、1人で平均30人前後の利用者を担当していると言われています。
中には100人以上を1人で抱えているケースもあり、業務量に見合った人員体制が整っていない地域も少なくないようです。
私も経験した、「事業所が見つからない」理由として、このような構造的な忙しさが背景にあったのかもしれません。
③基幹相談支援センター

穴場の相談先
これは意外と知られていないかと。
私も利用したことはありません。
どこに相談すればいいかわからない時の相談先のようです。
厚生労働省は、市町村を中心に障害に関する一般的な相談支援を行い、福祉サービスの情報提供や専門機関への紹介などを行う仕組みを設けている。
基幹相談支援センターは自治体によって、
- 基幹相談支援センター
- 障害者相談支援センター
- 地域生活支援センター
など名称が異なる場合があります。
こんな時に相談

「どこに相談したらいいかわからないのですが、どこかにつないでもらえますか?」
- どこへ相談すればいいかわからない
- 相談支援事業所が見つからない
- 複数の問題が絡んでいる
- 医療・福祉・教育の調整が必要
④医療機関・医療ソーシャルワーカー(MSW)

在宅医療はここから始まります
医療的ケア児家庭ではかなり重要な存在。
一番最初の訪問看護師さんの手配などを行ってくれます。
何をしたらいいかが本当にわからない、狼狽している保護者を支える方々。
難点としては、大きな病院では特に、非常に多忙でアポイントを取るのが大変。
病院での所属先役職や部署名として、
- 医療ソーシャルワーカー
- 地域連携室
- 患者支援センター
などがあります。
地域の支援に関する問い合わせをした時、または退院が近くなると、案内されることが一般的。

「退院後の生活がとても不安です・・・」
相談できること
- 退院後の生活
- 訪問看護
- 福祉制度
- 医療費
- 転院
- 在宅医療
- 医療機器
- 他機関との連携
特に、最初の退院という段階での保護者を支える、病院の地域連携部門が非常に重要。
⑤医療的ケア児支援センター

これは医療的ケア児家庭の相談口です。
各都道府県には医療的ケア児支援センターが設置されています。
ただし、実際の相談内容や対応範囲は地域差があります。
医ケア児ときょうだい児の参加できるイベント開催なども行っています。
相談できる可能性があること

「子どもが病気で、医療的ケアが必要になりました。
まずはどこに相談したらいいでしょうか?」
- 医療的ケア児の生活相談
- 医療・福祉・教育との連携
- 地域資源の紹介
- 医療的ケア児コーディネーターとの連携
「何でも解決してくれる場所」ではないです。
誰に何を聞けばいいか案内する。というような印象を受けます。
⑥学校・教育委員会

- 就学相談
- 特別支援学級
- 特別支援学校
- 医療的ケア
- 看護師配置
- 通学
- 放課後の生活
医療的ケアや障がいのある児童の学校生活には、教育面での相談機会が必要です。
すり合わせ無しには、必要な支援のある学校生活が歩めないからです。
学校への相談の場合、知っておくべき点をあげます。
先生は多忙な上、制度をすべて知っているわけではありません。
そしてお仕事はまず、子供達に勉強を教えることが最優先となります。
相談するための人員は、スクールカウンセラー。
発達面での困難には、専用の担当者が在籍しているケースが多いです。
学校の案内に準じましょう。
教育委員会は、就学相談の中で接点が出来ます。
就学相談は入学・進学の際に行われる相談会です。
他県や市の方とお話したりすると、地域差を大きく感じます。
相談のコツ①「制度」ではなく「困りごと」から話す
ある程度は制度の下調べは必要です。
しかし、ケースバイケースもあります。
なぜなら、家庭や環境、個々の事情から発生する困難に対応するからです。

「母親が付き添わないと学校に通えないそうです。利用できる支援はありますか?」

夜全く休めません。夜間利用できる訪問看護やヘルパーさんはありますか?
困っている生活の場面を具体的に伝えることで、制度を探すことができます。
相談のコツ②「できません」と言われたら理由を聞く
「できません」と言われたら終わりではありません。
理由を聞きましょう。

出来ないのはなぜでしょうか?
制度上ですか?
それとも、今利用出来ないのですか?
この質問の答えによってその後の行動が全然違います。

すみません。
実は、この自治体では・・・
A:「制度が存在しないため」できない
→他の制度を探す必要がある
B:「自治体には制度があるが対象ではなくて」できない
→申請方法や条件を確認(申請から時間がかかる場合も)
C:「制度はあるが、事業者がいない(空きが無い)から」できない
→行政サービスは存在するが利用困難という問題
思うようにいかない時にできる「次の一手」
問題が解決しない時の相談先
- 役所の担当者に相談←今ここ
- 別の専門機関へ相談
- 基幹相談支援センターへ相談
- 都道府県・専門団体・当事者団体へ相談
あるいは、地元の議員に直接要望を伝える、という手段もあります。
「前例がありません(定期)」と「できません」は違います
行政や学校などで時々言われるアレ

前例がありません(定期)
でも、「前例がない(定期)」と「制度上できない」は違います。
ちょっとムッとするかもしれませんね。
とりあえず落ち着いて(何かかわいい物で頭を満たしましょう)そこで質問してみましょう。


「前例がないのは、制度上禁止されているのですか?」
「とても必要としています。検討していただくことはできますか?」
「知っておきたい」とか、「確認したい」
こういうスタンスで質問し、必要性を示唆することで開ける道もあると思っています。
記録を残す
これはとても重要です。
次に行った相談先、関係団体などで伝えるためにも。
(ずぼらで記録を残さなかった自分への自戒を込めて…)
例
9月3日
○○市障害福祉課
△△さん
放課後デイの医療的ケア対応について相談。
現在利用可能な事業所は紹介できないとのこと。
医療的ケア児支援センターにも相談するよう案内された。
全部が全部ではないにしても、どうしても必要な支援があります。
着実に実現するために、記録を残しましょう。
おわり
本当は親がここまで制度を知る必要はない
このページをここまで細かく説明したのは、支援につながるためにはとても多くの労力を必要とするからです。
制度自体の知識が無いと、何を申請したいのか説明が出来ず申請書をもらえないこともあります。
そして申請し承認されても、毎年か、あるいは数年に一度の更新があります。
そのたびに医師に診断書を書いてもらい、お金を払う。そして書類を書いて提出します。
大変ですが、そうしなければ支援が継続されないというのが現実です。
しかし、本来はそんな知識が無くとも、必要な支援につながることが理想です。
厚生労働省も、障害児相談支援を本人・家族の課題整理や関係機関との連携を担う重要な仕組みとして位置づけています。
障がいのあるこどもの生活を支える制度は複雑です。
自治体毎に違いがあり、ネットの情報だけでは完結することがありません。
だからこそ、親が一人で全部を抱え込まないために、相談先を知っておくことも大切なのだと思います。


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