経管栄養児のリアル|胃ろうを選ぶまでの葛藤と、我が家の経過

医ケア・難病児

「胃ろう」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。

お腹に穴を開ける手術。
できれば避けたいもの。

私も、息子が経管栄養を始めた頃は、そんなイメージを持っていました。

でも我が家の場合、経管栄養を続ける中で、

NGチューブ → EDチューブ → 胃ろう

と方法が変わっていきました。

この記事は、医療的な立場から「どの方法が正解なのか」を説明するものではありません。

実際に我が家が経験した経管栄養の経過と、なぜ胃ろうを選ぶことになったのかを、一つの体験談としてまとめています。

我が家の経管栄養はNGチューブから始まった

経鼻胃管栄養【NGチューブ】

息子には生まれつき内臓の奇形があり、十分な栄養を口からとることが難しい状態でした。
最初に使ったのはNGチューブです。
産まれてすぐPICUに運ばれ、同時にかわいいお鼻にチューブが入れられていました。
手術後に回復して、一般病棟に行ってからもです。

赤子の鼻にチューブを通す鬼畜ミッション

退院までの間、看護師さんからチューブの交換方法を何度も教えられました。
【履修】というやつです。
小さな赤ちゃんの鼻にチューブを入れる。
緊張で凝り固まり、変な汗を大量にかきながら行いました。

それでも、退院後の生活のためには自分でできるようになる必要がありました。
普通自動二輪の免許を取るのに、バイクを起こせるようにならないといけないのと似てます。

ところがその後、息子は胃が小さく、ダンピングによる低血糖の症状が出てしまいます。

結果、胃を通過して腸に栄養を流すEDチューブに変更。

さらに、ミルクや栄養剤を24時間ポンプで持続注入する形になりました。

経鼻経腸栄養【EDチューブ】

EDチューブはNGチューブより長く、抜けにくいというメリットがありました。

その一方で、抜けてしまった場合には医師による挿入が必要となりました。
家庭で簡単に入れ直すことができません。

お鼻から管が出ている。

外から見た印象はほとんど変わりませんが、NGチューブとEDチューブは全くちがいます。

経鼻栄養で大変だったこと

チューブとテープの管理

鼻から入ったチューブは、抜けないように維持しなくてはいけません。
頬や鼻にテープで固定します。
これが、簡単なようでなかなか厄介でした。

冬は鼻水。
夏は汗。

テープを貼りっぱなしでは、赤ちゃんの繊細な肌はすぐに皮膚が荒れます。
肌のケアをしたいと思い、クリームを塗ればテープがつきにくくなる。

肌を守りたい。でもチューブも固定しなければならない。

少しずつ位置をずらして貼りますが、1歳未満のこどもの顔はあまりにも小さいです。

チューブを死守するのは無理ゲーでした。

こどもが成長すると、別の問題も出てくる

赤ちゃんの頃は親が管理していれば何とかなっていたことも、成長してくると困難がつきまといます。

鼻に入っているチューブも、頬に貼られたテープも。

おまけに肌荒れもあり、不快で邪魔でしかない。

こども自身がチューブを抜いてしまいます。

さらに、大きな手術をし成長が遅れていても、9ケ月になると寝返りが始まりました。

体にチューブを巻き付けながら、ぐるぐる回りEDチューブを抜いたこともあります。

全く目が離せません。

これは24時間ずっと経鼻経管栄養を続ける家庭にとって、とても大きな負担でした。

経鼻栄養と胃ろう、どちらがいい?

判断基準は優劣などではなく

経鼻栄養と胃ろうは、単純に優劣で語れるものではないと思っています。

こどもの状態や今後の見通し、必要な栄養管理、家庭の状況など、現実と向き合い、医師と相談して決めていくものでした。

我が家の場合も、最初から胃ろうを考えていたわけではありません。

NG・ED両方の経鼻栄養を経験し、24時間ポンプを使いずっと栄養を入れる生活。
その中で、胃ろうを提案されました。

胃ろうを考えるようになった理由

経験者からの助言

胃ろうについては、主治医から提案されたことがきっかけの一つでした。

ですが、それだけではありません。

当時、さまざまな経管栄養をしている子を持つ先輩やブログを書いている方からも、アドバイスをもらいました。

医療者からの説明だけではなく、

実際に胃ろうのあるこどもと暮らしている家庭では、どんな生活をしているのか

これを知ることができたのは、私にとって大きかったです。

そして、そのアドバイスの中で大きかったのが、

注入できる栄養の選択肢が増えること

体を成長させるために、必要な栄養がより確保できる。

胃ろうにすることで、経鼻栄養よりも栄養剤の選択肢を増やせる。

それは、成長を願う親にとって魅力的でした。

息子の未来を考えた上でも、とても大きな意味があると感じました。

胃ろうは「必要悪」ではなかった

現実的に考えた判断

「胃ろう」と聞くと、

「できれば避けたい」「かわいそう」

というイメージを持つ方もいると思います。

でも、経鼻栄養を実際に経験してみると、見え方が変わりました。

チューブの固定、皮膚のケア、抜いてしまったときの対応。
24時間ポンプによる持続注入。

そして、こどもが成長するにつれて変わっていく負担。

胃ろうにももちろん大変なことがあります。

それでも、

胃ろうにすることで、生活や栄養管理がその子と家庭に合いやすくなる

という場合もあります。

我が家にとっては、それが胃ろうでした。

「胃ろうになった=悪くなった」ではない

これが、我が家が出した結論でした。

「お腹に穴を開ける、できれば避けたいもの」
――そう思っていた私自身が、今ではそう思っていません。
あの時、経鼻栄養の大変さと向き合い続けたからこそ、たどり着けた結論です。

この記事が、今まさに経管栄養をしていて、
「この先どうなるんだろう」
「胃ろうって実際どうなんだろう」
と考えているご家族にとって、一つの参考になればと思っています。


次回は、実際に胃ろうを増設してから
――息子の胃ろう管理と日々の生活の中で見えてきたことを、包み隠さずお伝えします。

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