「医療的ケア児の防災備蓄|制度と我が家の実体験から考える災害への備え」

制度・手続き

23日深夜、関東で大きな地震がありました。
茨城・埼玉・千葉・東京で震度5弱を観測し、鉄道にも影響が出るなど、緊張した方も多かったのではと思います。私も息子も地震速報で目を覚まし、ふたりでくっついて長い揺れを耐えました。
今年に入って震度5がすでに3回目と、かなり頻回と感じます。
熊本や千葉県の豪雨被害を合わせ、被災された皆様がいち早く日常を取り戻せることを願っています。

医療的ケアが必要な子を育てていると、「災害」はニュースの中の出来事ではなく、電源が止まった瞬間に命に関わりかねない、とても深刻な問題です。
息子は今でこそ医療機器は持続注入ポンプだけになりました。
しかし、在宅酸素をしていた頃などは、地震・台風・落雷による停電のたびに、危機感から備えを見直してきました。

今回は、公的な情報と、我が家が実際に経験してきたことを合わせてまとめます。

医療的ケア児の防災、まず押さえておきたい3つの柱

内閣府のガイドブックや個別避難計画の資料を見ると、医療的ケア児の防災は大きく3つの柱で考えられています。

① 電源の確保

酸素濃縮機、吸引器、経管栄養の注入ポンプなど、医療機器の多くは電気で動いています。
ガイドブックでは、外部バッテリー・無停電装置(UPS)・蓄電池・車からの給電・発電機など、複数の電源手段を組み合わせて備えることが勧められています。
1つの手段に頼らないのがポイントと言えそうです。

② 医療材料・栄養剤の備蓄

お薬、経管栄養剤、衛生材料などは「その子によって必要なものが違う」ため、家庭ごとの個別チェックリスト作りが推奨されています。
特にインスリンなど冷蔵保存が必要な薬剤がある場合は、保冷の手段も合わせて考えておく必要があり、より深刻です。

それについて、停電後の冷蔵庫としての機能は何日単位で持つ?という真面目な実験をされた方がいらっしゃって・・・正直、すごく感動しました。
一見の価値ありです。

③ 個別避難計画と情報共有

自治体では、訪問看護師や福祉職と一緒に、専用の「個別避難計画」を作る取り組みが進んでいます。

他には、こども家庭庁が運用する「医療的ケア児等医療情報共有システム(MEIS)」に情報を登録しておくのも一つの手かと考えています。
2020年にはこのMEISは厚生労働省が所管していました。
当時私も検討したのですが、実際に情報が共有されたところで、現在の患児の状態を知る検査はどのみち必要で「あんま関係無いだろうなぁ」と思い、登録をしなかった経緯があります。

福祉避難所についても、2021年から「日頃利用している施設に直接避難できる」仕組みが整いつつありますが、事前に施設側とのマッチングが必要とされています。
施設側を利用出来る状態であれば、この取り組みが一番効果が高いと考えています。
気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉窓口や、かかりつけの訪問看護ステーションに相談してみてほしいです。

わが家が実際に備えてきたこと

ここからは、制度の話ではなく、我が家が実際にやってきたことです。

酸素ボンベは「常に2本余分」を意識する

息子は在宅酸素を使っていた時期があり、業者さんの配送が予定通りに来なかった経験があります。
台風の前は必ずボンベの本数を確認し、栄養注入ポンプの充電がどれくらいもつか(我が家の場合は約20時間)も把握しておくようにしていました。

酸素ボンベに関しては、事故のリスクを考慮に入れるべき所が悩ましいと思っていました。
ここ数年は特に、外気・室温共に異常な高さになります。
保管場所を考慮し、対策が必要なのではと考えています。

参考までに、病院にて充足が出来る小型の酸素ボンベがあるようです。
(我が家では規格が違うため、使った経験はありません)

停電時の対策にポータブル電源

昨今話題のポータブル電源。自治体によっては購入費の補助が出ることがあります。
ただし人工呼吸器使用者限定のところが多い点もふまえ、お住まいの自治体の障害福祉課(日常生活用具給付)に確認してみましょう。

数年前はガソリンを使うタイプの発電機が補助金の対象でした。(今もありますけど)
ですが、あのタイプの発電機は賃貸物件では使用できません。
また、たとえ戸建て住みであったとしても…ちょっと想像して下さい。
学園祭やお祭り、屋台で使っているやつです。音量と排気ガスがいっぱい出ます。
スタンドに行ってガソリンを購入することも含め、住宅地で気軽に使えるものでは無いのです。

我が家はポータブル電源 Jackery1000 newを自費購入しました。簡易的なソーラーパネルも一緒に。
賃貸物件なのでベランダに広げてみても、直射日光を受けるのは2時間程度です。
電力として蓄えられるのは1日に10%程度です。
しかし、停電が予測される場面で、前もって電源から充電し自己都合で使える。
これはとても良いと言えます。
製品として便利かつ、安心感もあるのでいい買い物です。

注意点は、比較的頻繁にセールをし、30~50%引きはあたり前です。
定価で購入はしないようにお気をつけください。

※撮影者、息子。パシャパシャと4枚撮っていました。

停電を想定した「電気を使わない」練習

突然の災害で電源が確保できない時を想定して、訪問看護師さんの協力を得てクレンメの調整による自然滴下を実施したことがあります。
些細ではありますが、「停電になってから考える」よりは「一回試す」ということが役に立つと思っています。

医療電卓 点滴の滴下数計算
点滴の滴下数計算|補液量・時間から自動算出|医療電卓 MedCalc.jp
このサイトなどを参考にしました。

重要な点として、滴下数は使用する栄養剤の粘度に影響されます。
例えばイノラスとラコールならイノラスの方が粘度が高い。
さらにカテーテルの太さや胃の内圧も同様に影響を与えます。
つまり、一概に滴下計算通りにはなりません。
ボトルの目盛りにて、1時間でこれくらい減れば通常通りかな。(例えば55ml/hなど)
という計測が必要です。

重要
事前に主治医・訪問看護師さんと一緒に、お子さんに合った滴下数を確認・練習
した上で行ってください。自己判断だけでの実施は避けてください。

非常持ち出し袋はローリングストックで中身を見直す

お薬管理アプリにも組み込みましたが、内服薬の劣化に注意して管理したいものです。
備蓄は「入れて終わり」ではなく、定期的に中身と使用期限を見直す前提で管理するようにしています。現在使用している栄養剤も、消費期限は長くて1年程度が多い。
限りあるスペースをフル活用し、備える必要があります。
そこを加味した上で、レトルトのスープなどの代用可能なものを探し、家族のものと共に備蓄することを実施しています。

クノールインスタントスープ、「胃ろうから注入可能だ~」と迷わずポチった一品です。
製品自体が軽いということもすごく評価高いです。

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おわりに

医療的ケアが必要なこどもの防災は、「何かあってからでは遅い」ことばかりです。
とはいえ、かさばるものも多く、完璧な備えを揃えるのは現実的ではないと感じます。我が家も、災害のたびに少しずつ見直しを重ねていますが、いまだに充分とは言えません。

まずは、ご家庭の医療機器がどれくらいの時間バッテリーで持つのか、栄養剤やお薬が何日分の余裕があるのかを確認するところからだと思います。
そして可能であれば、訪問看護師さんや自治体の窓口に、一度「うちの子の場合はどうしたらいいか」を相談しましょう。
違った立場の方からの助言というのは、発見が多いです。

※この記事は我が家の体験に基づく個人の記録です。災害時の対応は、お子さんの病状や使用している医療機器によって大きく異なります。個別の避難計画や備蓄内容については、必ず主治医・訪問看護師・お住まいの自治体にご相談のうえ、ご家庭に合った形で準備してください。

参考にした情報

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