胃ろうを造ると聞いたとき、正直、生活がどう変わるのか想像がつきませんでした。
栄養の摂り方はもちろん、毎日のケアやお出かけの仕方まで、何もかもが未知数だったからです。
今日は、実際に胃ろうを造ってからの日々がどんなものだったか、我が家のリアルをお伝えします。
胃ろうを造った直後の生活
2020年に息子は胃ろう造設、噴門形成、腸回転異常の修復手術を受けました。
手術が終わっても、その日からすぐ胃ろうを使えるわけではありません。
術後の経過を見て慎重に、EDチューブから胃ろうへと、少しずつ注入量を調整。
半月後には、100%胃ろうを使っての栄養注入へ移行することができました。
胃ろうから栄養を入れられるようになったことで、術後に回復していく姿を見守る日々。
少しずつ「これから胃ろうを使った生活をしていくんだ」という実感が出てきました。

胃ろうの栄養注入には、いろいろな方法がある
人それぞれのスタイルがあります。
ここで一つ、胃ろうを初めて知る方には知っておいてほしいことがあります。
胃ろうを造った方、みんなが24時間ずっと栄養を入れているわけではありません。
一般的には、朝・昼・夕・夜など時間を分けて、1回にまとまった量を注入する「間欠注入」という方法があります。
一方で、病状によっては少量をゆっくり持続的に注入する方法が選ばれることもあります。
息子の場合は24時間の持続注入
息子には内臓の形態に問題があります。
胃そのものも小さく、まとまった量を入れることが難しかった。
そのため、24時間の持続注入が基本となっています。
持続注入を止めると低血糖を起こす可能性があり、外来の胃ろう交換のときにも交換30分前までは注入していました。
つまり、みんながみんな「胃ろう=24時間チューブにつながれる」ではありません。
その子の病気や胃腸の状態などによって違います。
胃ろうのケアを覚える

わが子のプライマリーナース爆誕
胃ろう増設後、親も少しずつケアを覚えていきます。
息子の場合も、入院中から胃ろうの手技トレーニングが始まりました。
胃ろうの周囲を観察したり、ガーゼの交換などの必要なケア。
そして栄養の注入です。
最初は「タスク多すぎ」と思いました。
でも、毎日繰り返していると、少しずつ慣れるものですね。
歯磨き、着替え、お風呂、そして胃ろうのケア。自然に生活の一部となっていきました。
実際、胃ろうの息子をお世話する中で、
「息子には口が2つあると思って、歯磨きと同じように胃ろうケアをするんだ」
そんな風に考えるようになっていました。
胃ろうのメンテナンス
胃瘻の交換
胃ろうは造って終わりではありません。
定期的な交換も必要になります。
息子の場合、当初は月1回程度の交換になっていました。
(交換頻度は落ち着けば医師の判断で長くなります)
受診の中で胃ろうの交換をし、必要なお薬を処方してもらいます。
固定水の交換

それとは別に、二週間に一度胃ろうの固定水の交換という作業があります。
胃ろうは、おなかに入っている部分に水風船のような部位があります。
お水を入れて膨らませることで、抜けません。
その水の量をチェックする意味合いも込めて交換するんです。
詳しくは看護師さんから説明されるはずですが、一応ふれておきます。
これもだんだん「胃ろうのある生活」の一つになっていきます。
胃ろうの周りにトラブルが起きることも
胃ろう生活で、代表的な症状が胃ろう周囲の皮膚トラブルです。
日々の生活の中で注入した栄養が漏れ、刺激や汚染でろう孔とその周りの皮膚が荒れてしまいます。
周囲をやさしく洗浄して、ワセリンなどの薬品で保護してからガーゼを替えたりします。
胃ろうを造設してから数か月後、ろう孔からの漏れが増え、薬を注入するとすぐに周囲のガーゼが湿るようになりました。
「これは大丈夫なのかな?」
どんなお薬を塗ればいいのか、自分では判断できない時もあります。
訪問看護師さんに相談できることは本当に心強かったです。
看護師さんも判断できない場合は、病院の受診を勧められることもあります。
胃ろうを管理するのは親ですが、
親だけで全部判断しなければならないわけではありません。

胃ろう増設の効果
息子の成長
胃ろうは、毎日のケアが必要です。
決して「楽になるためのもの」とは言えません。
しかし、何より経鼻経管栄養の時のように、抜けることが無いのはうれしかったです。
さらに息子にとっては、十分に栄養を摂取し身体を大きくしていくために必要なものでした。
造設前の息子は体重が増えず痩せていました。
それが、10カ月ほど経った頃には、ほっぺも体ももちもちしてきて、ザ・赤ちゃんという雰囲気に。
その姿を見て、私は素直に嬉しかったです。
胃ろうのケアは大変だけれど、栄養が入って、身体が育っていく。
その変化を見ることで、毎日のケアを続ける力がわきました。
胃ろうがあっても、普通の生活はできる

知らないから怖かった。それだけ
胃ろうを造る前は、胃ろうがある生活がどんなものなのか、あまり想像できませんでした。
ですが、胃ろうがあっても、抱っこもお散歩もできます。
もちろん、そこに「胃ろうのケア」という仕事が一つ増える感じではあります。
ですが、テープによる肌荒れと、ケアが出来ない苦しさが無くなりました。
息子の場合は、栄養の持続注入と酸素もあったので、外出は楽ではありません。
それでも、4月にはお花見。
5月には、ハッピーセットのトミカが欲しい一心でマクドナルドまで歩いて行きました。
息子と暮らせる「日常」はいいものでした。
改めて、医療的ケアは特別な生活をするためのものでは無いと感じました。
産まれてから初めて退院するまで、半年以上かかっています。
体重も増えて、感動もひとしおでした。
そして、少しずつ異変が……
ところが、そんな生活を続けているうちに、胃ろう周辺の漏れが少しずつ増えていきました。
最初は「今日はよく漏れるな」という程度。
皮膚が赤くなり、着替えが増える。
朝起きた時と夜のお風呂後だったガーゼ交換の回数も増えていく。
それでも、その時はまだ、これがこの先の大きな問題につながるとは思っていませんでした。
胃ろうと一緒に暮らす毎日は、このあと少しずつ変わっていくことになります。
この続きは、また別の記事で詳しくお伝えします。
※この記事は2020年当時の体験をもとにしています。医療機器・医療用品・制度・ケア方法などは現在と異なる場合があります。
→あわせて読みたい:「経管栄養児のリアル|胃ろうを選ぶまでの葛藤と、我が家の経過」


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