「胃ろうを造ったら生活はどう変わる?」の記事最後で、胃ろう周りの漏れが少しずつ増えてきた、というところまでお伝えしました。
今回はその続き、私たちにとって本当に辛かった9カ月の記録です。
正直に言うと、当初はここまで長引くとは思っていませんでした。
お医者さんなんだから、何とかしてくれるだろう。という考えがありました。
しかし、
医師は神様ではありません。
万能でもありません。
私にとって非常に大きな学びでした。
この体験をお伝えすることで、こどもの病気の治療で迷うことがある方へ、少しでも参考になればと思います。
漏れが治まらず、入院することになった
深刻な胃ろうのトラブル
胃ろうを造ってしばらくは落ち着いていた息子ですが、半年ほど経った頃には、瘻孔からの漏れがはっきりと増えてきました。
注入した栄養剤が漏れて肌に触れ続けると、胃液を含んでいることもあり皮膚はどんどん荒れていきます。
痛がって泣く息子を見ながら、私では対応しきれないところまで来ていることを感じていました。
結局、皮膚の状態を落ち着かせるために入院することになりました。
入院中は、いったんEDチューブからの栄養に切り替えて、荒れたろう孔周辺の皮膚を回復させる対応がとられました。
「胃ろうを造ったら終わり」ではない。これを、身をもって知った時期でした。
縫合をくり返した半年間
改善しない日々
結局入院をしても、漏れは完全には解決しませんでした。
息子の場合、当時はまだ2歳。しかも成長には著しい遅滞がありました。
そのため体を起すことがあっても、何かに寄っかかって過ごします。
筋肉や皮下脂肪が少なく、胃ろうの穴(ろう孔)のサイズが広がりやすい状態だったようです。
医師と相談しながら、穴の周りを縫って一時的に締める処置を、何度も繰り返すことになりました。
半年で10回以上、糸をかけ直した
正直、この期間辛くて仕方ありませんでした。
縫ってもらってひと安心したのも束の間、数日から数週間でまた漏れが再発する。
胃酸にさらされ、皮膚の組織がもろくなっているのですね。
ともすれば縫った糸で皮膚がさらにバラバラになっていったこともあります。
回復することはありませんでした。
その都度、外来や往診で縫い直してもらう。そんなことが、半年ほどの間に10回以上続きました。
息子が痛がる。それを見ているのが辛くてたまらなかった。
具体的なことが書かれた当時の記録は今も見れません。
ただただひどい状態でした。
このまま胃ろうを続けるべきか、立ち止まって考えた
縫合を繰り返したところで全く回復しない。
ではどうしたらよいのか。それを考えるようになりました。
胃ろう増設の手術を担当した医師からは、ジェジュナルチューブを勧められました。
胃ろう(現状維持)
メリット:胃を使える
本人に満腹感がある
デメリット:漏れや皮膚荒れが続く
息子が苦しむ
空腸ろう・ジェジュナルチューブ(別の栄養ルートに変更)
メリット:胃への負担が減り、栄養摂取量が安定しやすい
デメリット:管理に慣れている人がまだ少ない
息子の身体にはサイズが大きめ
もちろん、どちらが正しいという単純な話ではありません。
こどもの体の状態や病状によって、向き不向きは変わります。
我が家の場合は、とにかく息子の苦痛を和らげたい。
その一心しかなかった。
胃の粘膜がめくれ出る「唇状瘻(しんじょうろう)」
悪化していくろう孔
漏れが続いていたことで、息子のろう孔は一段階悪くなりました。
胃の粘膜がろう孔からめくれ出てきてしまう状態(いわゆる唇状ろう)になったのです。
こうなると、栄養剤を止めて休ませても中には戻らず、漏れは増える一方だと説明を受けました。
それをジェジュナルチューブにすることで改善できるかもしれないと言われ同意しました。
しかし、全く良くなりませんでした。
さらに担当医から、胃を広げる手術(胃拡張手術)を勧められました。
「ダンピングも良くなる可能性がある」と言います。
ですが、この頃には、この医師のいうことを全く信じられなくなっていました。
セカンドオピニオン
勧められた手術は、全国的にも小児での症例数が少ない手術だと説明されました。
そのため、私は一度、他院にセカンドオピニオンを求めることにしました。
本音を言えば、担当の医師への不信感でいっぱいだったことも理由の一端です。
症例を多く扱う医師に依頼
苦しむ息子を見て、「早く決めなければ」と焦ってしまいます。
しかし、医療的知識のない親が決断を迫られても、相手が正しいことを言っているかはわかりません。
当然です。医学部での勉強や医師免許は、だからこそ意味があります。
私は手術の執刀なんてしないのですから。
ただ、自分の社会人経験を総動員して、言動や行動、人間として信用できるかどうかは見れます。
「可能性がある」これは誠実な言葉だったか?
人を信じる?そんな美しい言葉は息子の役に立っていなかった。
思考停止は悪です。
判断材料を求める事にしました。
結果として、今の瘻孔をふさぎ、新しい位置に胃ろうを作り直す「開腹胃ろう再増設術」を受ける決断をしました。
胃ろうの再増設手術
とても大きな手術痕
手術は以前の担当医以外の医師が行いました。
2時間ほどで終わり、大きな合併症もなく経過しました。
術後しばらくは集中治療室で過ごしてから一般病棟に移り、退院となりました。
私の心にも大きな手術痕が残った一件でした。
再増設後、暮らしはどう変わったか
作り直した胃ろうは、それまでとは見違えるほど落ち着きました。
以前のような頻繁な縫合は必要なくなり、「漏れに怯える毎日」は終わりました。
息子が自分で判断できるようになるまでは、私が守る。
強くそう思いました。
おわりに
セカンドオピニオンに関しては、別の記事で詳しく書けたらと思っています。
また、この時はネットでつながっている保護者の皆様にも情報を求めました。
なぜなら、自分で決断するためにも「保護者目線の一次情報」が欲しかったからです。
結果、感謝してもし足りない。
多くの方に助けていただきました。
以下の文は、今後もずっと自分自身への課題です。
医師も人間。万能ではなく、苦手なこともわからないこともある。
家族の危機にこそ、冷静に話を聞き記録を残すこと。
知らない事柄は情報を集め、自分でも可能な範囲で調べることが必要だ。
※この記事は我が家の体験に基づく個人の記録です。胃ろうの管理方法や治療方針は、お子さんの状態によって大きく異なります。気になる症状がある場合は、自己判断せず、必ず主治医や訪問看護師などの専門職にご相談ください。
→あわせて読みたい:「胃ろうを造ったら生活はどう変わる?|造設後のケアと我が家のリアル」


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